最近の造園業界について

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雪囲い取り外しの作業と消毒作業で同じ事を書くしか無いので、今日は造園に思う事を書きたいと思います。

目次

これまでの造園業

昔はお客様は家を建てる時に、庭があって一丁前みたいなそんな時代でした。その時の庭はやはり松類やキャラ、ヒバや紅葉やカイズカイブキ等、剪定に手間のかかる樹木がメインでした。また、春から秋まで四季折々の花が咲くような樹木の配置、縁起を担ぐ樹木の配置等と色々と考えながら植栽をしていました。さらに、石組や灯籠等もふんだんに取り入れて本当の日本庭園という感じでした。また、池もありました。金額も300万円とか500万円とか、それなりに庭にもお金をかけていたと思います。

そもそも、造園の素材って天然の1点ものが多いので価格も言い値な物が沢山あります。庭石1つにしたって、気に入れば高値で取引されます。樹木もそうです。同じ物が無いので

現在ではおそらくあまりないとは思いますが、昔は驚く事に庭を作ってもらうのに3年待ちでも待ってたらしいです。

いま、着工が3年後になりますとかお客様に言ったら、「じゃいいです〜」とエアペイみたいになってしまいます。

それほど、庭というものに関心があり、ステータスだと認識していたと、当時の方々の考えが伺い知れるエピソードです。

現代の庭事情

現代は本当に庭に関心のある方が少なくなってきました。庭石や灯篭なんてまず売れませんし、松の植栽なんてほぼありません。現代は家にお金をかけると庭に使うお金が無くなってしまいます。最近のセールストークはアパートの家賃で新築が建てれます!ですもんね。親と同居しない夫婦が増えています。かく言う私もですが。

大体のお客様が新築時にやる事は、カーポートとその下のコンクリート土間が多いです。とりあえずこの仕様がデフォルト。ちょっと余裕が有れば玄関までのアプローチとその隣に1本位手間のかからない樹木を植えて、もう少し予算があれば道路側にブロック積んでフェンスを建てて終わりです。殺風景ですが気になりません。元々アパートに住んでいたら緑の必要性を感じませんよね。

確かに金額だけで言えばそうですが、固定資産税や地震保険等他にかかる費用は建築会社や不動産屋は隠しています、というかあえて言わないです。屋根の塗り替えや外壁の塗り替え、または、予期せぬ水漏れ等のトラブル、他にも様々な修繕費用も必要です。まあ、建築側の売り方が上手いのでしょうね。

私の思いと思惑

私は新築で庭が無いのは勿体ないと思うんです。というか、正直言えば庭を作りたいんですよ。もっと言えばオリジナリティ溢れるお客様に合った作品を作りたいんです。ただ、現状で住宅を建てるお客様は最初の時点で庭に興味はないです。新築の外装や内装、家具の事などで頭が一杯で庭の『に』の字も無いんです。

住んでからリビングから通行人が気になるからフェンスが欲しいとか、駐車場から玄関までの間に靴が汚れるからアプローチが欲しいとかそうなってくるんです。タイヤや除雪スコップを置くのに物置とかですね。

建築の流れでは大雑把に下の表です。または建築条件付きの土地もあります。または建売。

という事は、下の表の3の段階で庭の金額も含めて予算組みが必要なんです。ここでちゃんと予算組みをしないと庭に使い予算は当然無くなります。じゃあ、どの段階でお客様に提案出来れば良いのか考えてみる。

建築屋と相談してみた。

そもそも庭を作らない原因はおそらく庭の良さ管理の煩わしさです。でも、建築物は周りに緑(庭や自然)がある事で更に引き立ちます。庭と言っても和風庭園のような物だけではなく、建築物の外観に合った庭の事です。一般住宅では芝生を張るのもいいですし、畑を作る事もいいですね。

ただ、漠然と芝生、畑ではなくて、そこに行くまでの動線や日差しの当たり具合、その他色々な要素を盛り込んだ、専門的なプランを立てれるのが造園業者だと思っています。素人のDIYとは違い当然ながら餅屋は餅屋です。これまでの経験をもとにそのお客様にあったプランを御提案致します。

例えば畑は畑の土をただ盛り上げるだけではなく、ブロック等で四方を土留めした方がその時の金額は高くなりますが、雨の時に土が流れる心配がなくなります。幅や奥行きですが、広い方が作物をいっぱい育てられるようで良さそうですが、幅を広く取る場合は奥行きを短くしないと奥に手が届かなくなります。土を踏んづければ届きますが、いつも長靴というわけではないですよね?つまり、奥の作物を収穫する為にわざわざ長靴に履き替える必要があります。それってめんどくさくないですか?次第に使わなくなります。造園業者は経験を元にそんなアドバイスも出来るのです。

前置きが長くなりましたが、上記の事を建築屋さんに話しました。結果から書きますが、『建築屋は建築屋、庭の事など2の次3の次』です。複数の建築会社に相談しましたが、なんだかんだで結局はこれに付きます。

つまり、庭があればいいなと思ってはいますが、庭に使うお金があるんだったら、家に使って欲しいというのが本音です。とある建築屋さんは、この話をしたら怒ってましたからね。

それほど造園業と建築業には考えに大きな隔たりがあります。

更にある建築業者は「車を買うときにマットとかハンドルカバーとか一緒に買わないでしょ?そんなのは後から買うんだ!庭とはそういうものだ!」と言ってました。つまり、建築業者は庭の事を車のマットとか灰皿とかそんなレベルでしか考えてないのがわかりますね。比率で言ったら例えば600万の車で3000円のマットなんで、2000:1位の比率です。1500万円の車なら5000:1です。とんでもない割合ですね。庭の事など全く考えていないというのが分かります。何度も言いますが建築物は周りに庭などが無いと殺風景で引き立ちません。トータルで考えないとダメなんです。

じゃあ、建築業者ではなく、建築を設計する設計士に相談した方がいいと感じ、設計士に相談してみました。設計はトータルで考える必要がありますから。

設計士と相談してみた。

結果的に施主様の希望が無ければ難しいとのことでした。うーん、、、まあそうでしょうね。基本的に家が欲しいわけで、庭が欲しいわけでは無いですからね。ただ、殆どのお客様は一生に1回の高い買い物を初めてする方が殆どです。普通、初めての事ってよく分からないじゃないですか?何回も繰り返す事で理解し分かるもので、初めて経験する事って誰かが教えてくれないとなかなか理解できないんです。

そこで、設計の段階で住宅の打ち合わせと同じ濃さで、庭の御提案や打ち合わせをする事で、お客様の庭への考え方や重要性が理解できると思うんです。設計の段階でおおよその窓の位置や外観のイメージ、駐車スペース、アプローチの長さ等分かりますので、造園業のプロが御提案する事が出来ると思うのです。

結局何が言いたいのか?

建築に夢中になって全額投入してしまう事で、庭の重要性に気づかず、完成後2年から3年後にそのことに気付いても、住宅ローンの他に200万円、300万円の外構の支払いは正直厳しいと思います。なので、最低限のカーポートとコンクリート土間程度で終わってしまいます。もしそれが妥協だったらせっかくの新築ライフがつまらなくなるんだったら、住宅ローンと一緒に組んだ方が良いと思うんです。そんなお客様のご相談が大変多いです。

今後の造園業はどうなるの?

現在39歳の私ですが、にわーるとして剪定させて頂いてるお客様の殆どが、30年〜40年前に植えた樹木達です。という事は年齢的に80歳〜100歳以上の造園業の先輩達が植えた樹木を剪定している事になります。

現代のお客様は庭を作ったり、植栽を頼んだ方の子供の方達です。子供と言っても50歳〜70歳位の年齢層です。

代替わりをして、親父が作った庭を何とか維持したいと思う方が2割、後の8割は自分の子供の為の駐車場を作りたいから庭を壊したり、維持費が高いので、全部伐採したいと考えていたり、家を出てしまって両親が施設に入るから実家ごと処分を考えていたりと、庭の継続よりも処分のウエイトが大きくなっています。あとは、息子の代に迷惑をかけたくないからと、御自身の代で処分を考えるお客様もいらっしゃいます。

この様に8割の方が処分を検討している時代です。私達の先輩方が作った庭の維持・管理を私達が現在しているのに、私達が庭作りや植栽をしないで伐採ばかりしていると、後輩達は剪定する樹木が無くなるのは目に見えてわかります。そうすれば、職業的にも衰退していってしまい、将来的に造園業ってなに?外構屋と違うの?という様な事になりかねません。結局、このまま行けば衰退してしまうでしょう。良い仕事なだけに勿体無いと思います。頼む施主さんも頼まれる業者もいなくなってしまいますから。残念!

ついでに言っておきますが、外構屋やエクステリア屋と造園業者を一緒と考えてもらってはこまります。基本的に感覚が違います。現場の納まりや歩幅の考え方、将来のバランスや掃除に対する考え方や現場のマナーなどです。中には造園業に近い感覚の外構屋やエクステリア屋さんもいますので、私はその人達に頼む様にしています。ほんとちょっとしたおさめかたの違いで、全然違う雰囲気になります。

結局、自力でやるしかないとの結論に至った。

じゃあ、このまま指を加えて衰退を嘆きながらこの仕事をやっていけばいいのか?答えはノーです。何か解決策を模索する必要があります。

この下の記事のように高齢化や少子化も進んでいます。

https://niwaaaaaaaru-blog.com/jyosetu-coushuukai-2019/

どげんかせんといかん!

まとめ

何かするので楽しみにしてて下さい。この記事に3日くらい掛かってしまったので疲れました。フィニッシュです!

最後にヤフーニュースの記事の抜粋です。

「葬儀屋さんがふいに、『出棺を10分早めませんか?』と。『お父様の描いた水彩画を見てると、海の絵が多い。焼き場に行く前に海に行きましょう』父の棺を乗せた車で、材木座海岸をドライブ。忘れられない時間になった。」

「どんな仕事でも、決め手は、愛。」

「葬儀屋さんに思い入れも興味もなかったんだけど、彼の『仕事』を見ていて、俺、葬儀屋になりたいって、ちょっと思った。周りにそういうふうに思わせるのが、本当のプロなんだと思う」

プロはお客様の事を1番に考えるべきで、自分の利益を優先する事ではないんです。

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