今日は黒松、赤松、キャラ、梅の剪定作業です。今回は松の基本的な剪定方法を説明します。剪定作業の花形と言ったら松ですね。新人の頃は松の剪定に憧れていました。理由は動く必要もないので楽そうだし、剪定が終われば綺麗だし、お客様にも喜ばれるし、本当に職人さんって感じがしたからです。
松の剪定のやり方を覚えると他の樹木にも使えます。
新人はゴミ片付けやサツキの刈り込みをメインでやりますが、実は早く剪定を覚える為には松の剪定を繰り返し行う事で、他の樹木にも応用が利く様になります。
なぜなら、私の剪定の考え方は枝を育てる作業だと思っているからです。
枝が育ってくると栄養が分散されて、枝の伸びが弱くなり、ゴミも出なくなるし、結果剪定作業量も少なくなるし、樹木自体も自然ないい感じになってきます。
基本的な剪定方法
まずは下のマンガを見てください。
最初は左上の状態です。左上の枝は分かれているところが3本あり、通常真ん中が1番伸びています。①の通りに剪定していきます。
- 真ん中の長い芽を切る。
- 左の中くらい長い芽を右の短い芽に合わせて切る。この時の注意点として、葉っぱは切らない事です。理由は切ってしまうと、見栄えが悪くどこか不自然になってしまうからです。あとは、お盆過ぎは切っても切り口から芽が出なくなる可能性が高くなります。観察ポイントとしては、去年同じ様に芽を詰めた枝から芽が出ていれば今年もほぼ大丈夫だと思います。
- 下の棒の左右に生えている去年の古い葉っぱを取ります。取る量も重要で綺麗に全部取ると伸びにくくなるが手間がかかり、弱る可能性があります。逆に取らないと来年そこが茶色い葉となり、ポロポロと落ちて松の下が落ち葉だらけになります。
これが基本作業です。思ったよりも簡単ですね。
次の年は切った切り口から新しく芽が伸びてきます。1本が2本、2本が4本と倍々ゲームです。
①から②になり、③、④、⑤となってきます。最初こそみすぼらしいですが⑤で5年なのでその頃にはだいぶ綺麗になります。
ちょっとはわかりましたか?
真ん中を残すとどうなるの?
真ん中を残すとこうなります。写真は黒松ですが、去年真ん中の太い芽を短く切って残しました。そうすると、今年も薄茶色の太いのが出てきました。私が思うには、太い芽というのは、水の通り道の道管が太く、沢山の水を吸い上げた結果伸びが強くなるのでは無いかと思ってます。
ですので、太い芽を取り除かないといつまでも太い芽が出てくるんです。この考え方は他の樹木も一緒です。
その証拠に弱い芽ばかりを残すと下の写真の様に細くて小さい芽ばかりが出てきます。上の写真と同じ黒松なのに芽の出方が全然違います。松はこの習性を生かして、細かくイナズマの様な枝を作ります。細かければ細かい程綺麗に仕上がります。いつも私のブログで下から写真を撮るのは、その細かさをよりわかりやすくする為です。
こんな面白い記事もありました。
難しい事が書いてありますけど、実際のところ樹木はまだ未知なところが多いようです。
写真で松の剪定を見てみよう
下の写真の様に綺麗になります。上のマンガをひたすら繰り返しただけですが、こんなにカッコよくなりました。
黒松は特に問題なかったんですけど、赤松に問題がありました。
それがこちら。
赤松は病気にかかりやすい。虚弱体質
何がおかしいかわかります?松の芽がこんなにしなる事はまずありえません。私の予想はアブラムシが大量発生して、やらかしたと思っています。
アブラムシがいないとアリは松を登っていかないのですが、今回のお客様の赤松はどんどんありが登って行ってました。どんな樹木にも言える事ですが、アリは目的が無いのに登っていきません。必ず目的があるはずなんです。
今回のひとつの原因はアブラム確定です。赤い矢印の先にちょっと見えると思いますがそれがアブラムシです。
調べてみるとタイワンヒゲナガアブラムシでは無いかと思います。んーでも色が逆なんですよね。違うかもしれません。
アブラムシってどんなやつ?
原因
ほとんどの場合枝や葉が混み合って、風通しが悪いからです。
生態
アブラムシは種類によって生態も違いますが、翅(ハネ)のある有翅型(ユウシガタ)は植物から植物に飛んで移動することができます。
翅(ハネ)のないタイプの無翅型(ムシガタ)のアブラムシは、春から秋の間は交尾をすることなく単性生殖のメスだけで増えます。
秋の終わりごろになるとオスが発生し産卵、メスとオスが交尾しメスは卵を産みつけます。春に越冬後の卵から産まれるアブラムシは翅がないアブラムシ。このサイクルを繰り返します。幼虫は10日前後で成虫となり、毎日5匹程度の幼虫を産むそうです。
有翅型のアブラムシが発生すると、別の植物へと移動を繰り返すため、一気に発生してしまうことになります。
被害
葉裏に体長1~4ミリの虫がたくさん群がって葉の汁を吸う。
多発すると虫の抜け殻や虫の排泄物の上に発生するすす病(黒くススがついた様な)により葉が汚ます。
汁を吸う時にウイルス病を媒介する。ウイルス病にかかると葉の色がまだらに白く抜けたり、葉が萎縮する。
発生時期
春~秋に10回以上発生する。雑草などから飛来し、4~6月と9~11月に多い。
短期間に猛烈に増えることがある。一方、天敵が発生し、たくさんいたアブラムシ類が急に減ることもある。
駆除の方法
松の場合は薬剤を散布する必要があります。薬剤の種類はカルホス乳剤が効くと思います。薬剤もいっぱい種類がありすぎてよくわからないと思いますが、比較的金額の高い方が効き目は強いです。
防除というよりは、今いる虫にかけて駆除するイメージです。防除より駆除です。
アリとアブラムシ
アブラムシが出す甘い排泄物がアリを誘発するため、放置したままにしておけない害虫です。
また、アリはアブラムシの天敵となるような昆虫からアブラムシを守り、アブラムシを他の植物に移動させたり、お互い共生関係を築いているそうです。
恐ろしすぎます。
まとめ
ちょっと脱線しましたが、松の剪定の基本的な剪定の考え方はこんな感じです。何十年と繰り返す事で形が出来てきます。だから、剪定してある古い松は価値があり、値段がつかないほど高額になるんです。逆に剪定してない古い松は無価値です。
他にも仕立て方などがあるのですが、それも書いてしまうと、長くなってしまうので、今度御紹介したいと思います。
是非、実践してみてください。
もし出来なかったら、にわーるまで御連絡下さい。宜しくお願い致します。
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