今回は山形市内で季節的に丁度、いい香りがするキンモクセイを剪定してきました。今回は金木犀の剪定や管理方法について現場の写真を交えて御紹介いたします。
キンモクセイはどんな木?
キンモクセイは常緑樹で雌雄異株(しゆういしゅ)です。樹高は5m〜8mになります。
山形では9月下旬になるとオレンジ色の小さい花をつけます。芳香剤の様な強い香りが特徴です。この匂いは好き嫌いが分かれます。個人的には好きな香りです。ちなみにギンモクセイは白い花で香りは弱いです。詳しくはhttps://hanajikan.jp/tag/93で確認して下さい。
雌雄異株(しゆういしゅ)って?
雌雄異株(しゆういしゅ)とはオスとメスが分かれているということです。男と女みたいな感じですね。有名な樹木ではイチョウですね。銀杏がなるのがメスです。
では、日本のキンモクセイはオス?メス?
正解はオスです。日本にはオスのキンモクセイしかないそうです。メスもあれば実がなりタネが取れ、種を植えると芽が出て、そうやってキンモクセイを増やしていく感じです。他には新芽を土に挿して増やす挿し木があります。
何でオスしか日本にはないのかと言うと、オスの方が花が咲き香りがいいので、中国からオスを輸入してそれを挿し木で増やした結果、日本にはオスしか無いそうです。
挿し木もできる強い樹木なんです。
剪定時期はいつなの?
キンモクセイの剪定は花が終わった頃から、春先4月ぐらいが適しています。
山形では雪が降るので、春先の方がいい様な気がします。理由はキンモクセイは寒さに強くないので、剪定後は葉が少なくなってしまいます。寒さの影響がさらに増すと思います。
ただでさえ、植栽したばかりの冬は寒冷紗という黒い布みたいなものを巻いて、その上から縄でグルグル巻きに雪囲いをします。寒さが直接当たらない様にする為です。寒さに当たると葉がポロポロ落ちてきて、枝だけになってしまいます。
上記の理由から春先が適していると思います。
キンモクセイの剪定の方法は?
キンモクセイの剪定方法には刈り込み剪定と枝抜き剪定があります。
通常、刈り込み剪定が一般的ですが、今回は枝抜き剪定をしました。
刈り込み剪定のメリット・デメリット
刈り込み剪定は基本的に去年の切り口より5mmから1cmくらい上で切ります。そうしないと枝が密集してこないからです。
刈り込み剪定のメリット
- きっちりとした形に作れる。円柱形、丸、四角など。
- 素早く作業が出来る。
- 早く目隠しにしたい場合、葉が密集するので効果的。
- 作業価格が安い。
刈り込み剪定のデメリット
- 表面だけ刈り込むので、中の方の枝の向きがめちゃくちゃになる。
- 樹木が段々大きくなる。
- 内側に陽が入らないので中枝が枯れる。
- 表面に葉が密集するので、内側の風通しが悪くなり、虫などがつきやすい。
- 小さくしたくなっても、内側に葉がほぼ無いので、枝だけの見た目になる。さらに、弱る。
枝抜き、自然樹形剪定 メリット・デメリット
枝抜き剪定は、枝を整理しながら樹木本来の形を維持する剪定です。感覚的には剪定前も剪定後もどこを切ったのか分からないけど、ゴミは結構発生してる様な感じです。
自然な感じを目指しているので、刈り込み剪定よりは表面の凹凸はあります。今まで刈り込み剪定をしていた方は仕上がりに違和感があるかもしれません。
枝抜き剪定メリット
- 内側の枝もキチンと剪定するので、サイの皮の様な独特の樹皮も見える様になる。
- 自然な樹形を目指すので、刈り込み剪定よりは多少大きく見える。
- 小さくしたくなったら、ある程度は自然な感じでコンパクトな感じに対応できる。
- 自然な感じなので、まるで山の中にいる様なそんな感じが演出出来る。
- 枝が整理されているので、陽当たりも風通しも良く、下草などが日陰にならずに育ちやすい。
枝抜き剪定 デメリット
- 透けるのでガッチリ目隠しに向いてない。
- 作業価格が高い(ゴミの量も含む)
キンモクセイには結局どっちの剪定が適しているの?
私がオススメするのは枝抜き剪定です。なぜなら、将来的に考えても、小さくしたい場合でも、ある程度の融通が利く点です。
多くの方々が、アプローチの横や玄関付近に植栽されているので、大きくなると邪魔になってきます。植栽の時点で知識のある業者は大きくなる事を加味しながら作業するのですが、大きくなるまでの見栄えの問題などで、アプローチの側や、玄関前のポストのすぐ横などに植栽するパターンが多いのが現状です。
なかには、大きくなったら伐採すればいいし、更には、10年くらいのサイクルで庭を作り直そうと考えている業者もいます。
結局のところ、お客様の感覚や好みの問題ではあるのですが、私は枝抜き剪定で、自然な感じに庭を作り上げていく方が好みです。
自然樹形の剪定方法はどうやるの?
まずは写真を見てください。
赤い矢印が、右が去年、左が一昨年と切った切り口です。左の方はカルスと呼ばれる樹木本来の修正機能が働いて、半分位覆い被さって切り口を治そうとしています。右はやや被ってきてます。
どちらも太い枝を切った切り口になります。太い枝を切ると、青い矢印の様に同じ様な強い枝が生え出してきます。いわゆる徒長枝(とちょうし)と呼ばれる枝です。
これは樹形を乱す原因になるので、切る必要がありますが、これを切った状態が下の写真になります。
赤丸の部分が切った所になります。どうですか?違和感ありますか?
違和感ありまくりですね。この様な剪定をしているのが街路樹になります。同じ所から毎年同じ様に徒長枝が出来て、同じ様に切るのでこの様に同じ場所にコブが出来て、そのコブを目印に切るので、コブだらけになってしまいます。
もし、上の写真の青の矢印が上じゃなく横の方に伸びていたら、5cmくらい残して切ります。5cmという目安の理由はこの写真をもう一度見ればわかります。
花の間隔はどうなっていますか?測ってみると平均で5cmくらいです。花が咲いてる部分には芽があるので、そこから芽が出て、枝になり、そこから必要な枝を剪定します。骨格枝を作っていくのです。
さっきの赤丸の様な所は上の青矢印の方向なのでいらないです。コブもいらないです。下の写真が今年の完成形。
青い矢印の方向に出てくる様にコブの枝自体を取り除きます。今回は断面を斜めではなく真っ直ぐに切り落としました。理由は切った左側が空いてますよね?必要ない枝なのでバッサリいった結果空きました。ですので、今回は四方八方に出て、早く埋めたいからです。四方八方に出ることで、方向性のいい枝を2.3枝残せるから早く埋めれます。
斜めに切り落とすと、万が一そこから発芽しなかった場合、その場所が空いてしまうので、こういう場合は真っ直ぐ切る様にします。
モミジも見てみよう
下の写真は先程のキンモクセイよりひどい状態のモミジです。
やはり、太い枝を切ると反発して、ますます太い枝や上に伸びる枝が(徒長枝)がたくさん出てきます。赤い矢印が切り口で、覆いかぶさる様に徒長枝がすごく出ているのがわかりますよね?これもこんなふうに処理するしかありません。
青い矢印の枝に今後を委ねるしか他ないです。おそらくここから来年も強い枝が出てくるでしょうね。その中からいい方向に伸びている枝を選んで骨格枝を作っていくのです。
キンモクセイの剪定 まとめ
私はやはりキンモクセイの剪定は枝抜き剪定が適していると思っています。剪定の基本は骨格枝を作り、そこから細かい枝を作って行くのがベストです。
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